バトル・ニュース

2011/08/31


素晴らしかったALL TOGETHER

 8月27日は日本武道館で新日本、全日本、ノアが『ALL TOGETHER』、両国国技館ではIGFが『INOKI GENOME』と興行戦争だったわけだが、どちらも東日本大震災復興支援チャリティーイベントだっただけに、結果的にどちらも満員になって大成功したのだから万々歳だ。

 当バトル・ニュースも武道館班と両国班2班に分かれて当日は取材をしたわけだが、筆者は武道館の『ALL TOGETHER』に取材に行かせてもらった。バトニューは基本携帯サイトなので、普段プロレスリング・ノアが取材出来ない。そのせいもあって武道館にプロレスの取材で行くのはかなり久しぶりだった。
 2008年10月の魔裟斗vs.佐藤嘉洋戦が行われた『K−1MAX』は武道館だったのだが、あのときは観客がかなり入っていたし、異様な盛り上がりだった印象がある。プロレスだと2007年12月の小橋建太がガンから復帰した一戦か。これはプライベートで観戦に行ったのだが、もう観客がぎっちり入っていて感動と興奮でボルテージが高かった。

 『ALL TOGETHER』で久しぶりに武道館に行き、まずプレスルームに入ってみると、思ったより記者が少ない。やはり両国側に行っている記者の方もいるし、この日はほかにも興行があったので仕方がない。
 しかし、グッズ売り場には長蛇の列が出来ているし、いざ開場になると次々に席が埋まっていく。すぐに「チケットが完売になり、急遽立ち見席を販売した」という情報が入ってきた。プレスルームからアリーナに移動してみると、アリーナ席から2階席までびっしり埋まり、さらに最上階では立ち見の観客が暑そうに団扇で扇いでいる。

 もう完全に文句のつけようがない超満員札止めだった。
 会場に来ていたDDTの高木三四郎大社長とも「すごい入ってますねぇ」と言っていたのだが、来年武道館進出が決まっている高木大社長としては超満員の武道館を眺めながら、頭の中であれこれ構想を練っているようだった。DDTの場合は、やはり花道やスクリーンなどを使ったほうが良さが出しやすいということもあるだろうが、それでも超満員の観客を動員して、この日に負けないくらい壮観な景色を見たいはずだ。

 以前このコラムで『ALL TOGETHER』は、基本的にメジャー3団体のほとんどの所属選手が出場しているため、それぞれの団体が現在進行形のプロレスを“お披露目”する場になると書いたが、確かに飯伏やKENSO、NO MERCYなど、各団体の中心で活躍している選手は目立った活躍を見せてくれたが、それよりも“オールスター戦”らしいプレミアム感を予想以上に感じることが出来たのは良かった。

 NO FEARの復活や三大王者揃い踏みなんかも良かったが、やはり会場を一番沸かせたのは武藤敬司と小橋建太のタッグだった。この2人が並び立つと絵になるし、超ベビーフェイスの武藤&小橋に対し、絶対的ヒールの飯塚&矢野が分かりやすく“悪いこと”をするのだから、観客の声援はほとんど武藤&小橋に集中!
 この日はスクリーンがなかったため、いわゆる“煽りV”がなかったわけだが、この試合ほど何を観ればいいのか説明する必要がない試合もない。煽る必要がないのだ。

 さらに武藤のムーンサルトプレスが出たと思ったら、そのままフォールに行かずに小橋が青春の握り拳を握り、小橋までムーンサルトプレスを出したのだから、もうプレミアムを通り過ぎて有り難いものを見させてもらったぐらいの気持ちになった。
 ハッキリ言って武藤も小橋もコンディションは良くない。動きだけで言えばメインに出ていた6選手のほうが全然いい。だが、武藤&小橋の月面水爆の競演は鳥肌が立つくらいプロレスの素晴らしさを感じさせた。

 三大王者を含め、第一線バリバリのメインの6選手が武藤&小橋に“負けた”とは言わない。歌で終わるエンディングなんかは武藤&小橋にはなかなか出来ない、陽のイメージがある三大王者ならではの良さだし、今後の『ALL TOGETHER』もこの6選手や世代の近い選手が中心になるのは間違いない。
 彼らにとって『ALL TOGETHER』はチャリティープロレスや多団体との絡み以外にも、レジェンドとの闘いの場になりそうな気がする。さらに、今後はカードも“お披露目”感の強いものから、ここでの絡みが各団体での闘いにつながっていくものに変わっていくかもしれない。
 『ALL TOGETHER』という“柱”が出来たことで、メジャー3団体の闘いに新たな流れが出来てくれば、日本のプロレスはまた一段と面白くなる。そんな期待も出来るほど素晴らしい大会だった。