バトル・ニュース

2011/08/03




 ちょっと前に『タモリ倶楽部』でも特集されていたが、プロレスの技というのはプロレスを楽しむ上での1つの要素なのは間違いない。
 技の完成度、インパクト、説得力、使う選手とのイメージなど、ファンにフィニッシュホールドとして認知されるまでいくのは簡単なことではない。

 必殺技とは読んで字の如く、相手を必ず仕留められるような技であり、その技が決まったらまず間違いなく3カウント入るような技こそが必殺技だろう。
 だが、現代のプロレス界ではなかなかそういう技はない。例えばIWGPヘビー級王者・棚橋弘至の必殺技といえばハイフライフローだが、最近では一発ではなかなか決まらなくなってきた。勝負所と見た棚橋が、畳みかけるようにハイフライフローを連発すると、ようやく決まるという感じ。似たようなことは中邑真輔のボマイェにも言える。

 鈴木みのるのゴッチ式パイルドライバー、小島聡のラリアット、真壁刀義のキングコング・ニードロップあたりは、ズバリと決まればかなりキックアウトされる確率は低く、観客からも「あ〜あ、終わりだぁ」というような溜息が漏れることが多いが、それでも100%の必殺技というわけではない。
 これだけ全体的な技の難易度が上がり、観る側のハードルも上がってしまっている現代のプロレスで、100%の必殺技を求めるほうがナンセンスなのかもしれないが、だからこそ1人や2人くらいは100%の必殺技を持っている選手がいてもいいような気はする。

 個人的には飯伏幸太のフェニックス・スプラッシュは、100%の必殺技に近いように感じる。
 難易度の高い技から、幼い頃からやっていたプロレスごっこで身に付けた技まで、様々な技を繰り出していって観客の度肝を抜くことが多い飯伏だが、近年飯伏の必殺技としてフェニックス・スプラッシュはかなり定着してきた気がする。今年のスーパージュニアを獲ったのも、IWGPジュニアヘビー級王座を奪取して、防衛しているのも、すべてフェニックス・スプラッシュだからというのもあるだろう。
 フェニックス・スプラッシュは別に飯伏にしか出来ない技というわけではないが、いまや完全に飯伏のものだ。今後も出来ることなら完璧に決まった飯伏のフェニックス・スプラッシュは、キックアウトしてほしくないものだ。

 あと個人的に面白いなと思ったのが、ドラゴンゲートの望月成晃がフィニッシュホールドとして使っている三角蹴りだ。
 三角蹴り自体は望月が若手の頃から使っていた技だが、基本的に三角蹴りはエプロンに出た相手とか、コーナー付近にいた相手に対して、コーナーに飛び乗るというフェイントから、肩口や背中辺りをパコーンと蹴る、いわゆる“つなぎ技”だった。

 だが、今回ドリームゲート王座を奪取した試合から使い出したフィニッシュホールドとしての三角蹴りは、コーナーに飛び乗って、勢いをつけてから相手の顔面を蹴っ飛ばす技へと“リニューアル”されているのだ。
 長年愛用してきたこだわりの技とはいえ、いままでのままだと必殺技として説得力に欠ける。そこで必殺技として相手を仕留めるだけの説得力を持たせ、進化させた技というのは、なかなか珍しい。

 橋本大地はいまのところ、対戦した蝶野正洋や武藤敬司、望月の技を譲り受けつつ、父・橋本真也の技を継承しているが、単なるモノマネであって、説得力もないければ、いまの大地の体型やキャリアを含めたイメージにも合っていない。ハッキリ言って“画的にいい”から使っているという感じ。
 考えてみると、愛川ゆず季もNOSAWA論外の超高校級ラ・マヒストラだったり、高木三四郎のスタナーだったり、モノマネ技が多いのだが、彼女の場合はカカト落としに「ゆずポンキック」という名前を付けた時点で勝ちだ。必殺技とまではいかなくとも、インパクトやイメージなども含め、完全に愛川ゆず季の技として認知された。

 だから大地に必要なのは、いまの体型、スタイル、イメージにピッタリとハマる技だろう。父・橋本真也が垂直落下式ブレーンバスターを頑なに「垂直落下式DDT」と呼んで自分の必殺技にしたように、「これぞ橋本大地の技だ!」という技が1つあるだけでも随分と違ってくるだろう。
 まだ見ぬ“大地スペシャル”は一体どんな技がいいのだろうか。それを考えるだけでもなかなか楽しい。