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2011/07/06


1新人レスラーの橋本大地に見せてほしいもの

 3日に行われたZERO1後楽園ホール大会は『破壊王七回忌記念大会』として行われたため、メインが破壊王こと橋本真也さんの息子・橋本大地vs.高山善廣だった。
 デビューからわずか4カ月弱で後楽園大会のメインで、プロレス界の帝王である高山とのシングルマッチという大抜擢を受けた大地だが、正直試合内容はかなり厳しいものだった。

 それは高山の試合後のコメントに集約されている。
 「(大地は)ただの新人だよ。ただのデビュー3、4カ月の新人だよ。サービス試合だから、俺のな。メインだったし。親父さんの権威に捧げたサービス試合だ。付き合ってやらなきゃ、もっと短く、もっと何もさせなかった。もっと俺もさっさと終わらせたかった。今日は何が出来るかちょっと見てみたかったあいつが。やっぱ所詮、まあ当たり前なんだけどデビュー数カ月のぼっちゃんでしかなかったな」

 11分4秒の試合時間のうち、何分間かあった大地が攻めているシーンは高山が“付き合っている”のがよく分かるものだった。
 なにせ大地がいくら空手仕込みの蹴りを叩き込んでいっても軽いのだ。レガースを着けているにもかかわらず、「ボスッ」とか「ドスンッ」といった重たい音がすることなく、「パスンッ」という軽い音だけが響いた。

 父・橋本真也の魅力といえば、あの体重が乗った重たい蹴りだ。真也さんはヤングライオンの頃から蹴りを使っていたが、元々アンコ型の体型だったし、闘魂三銃士の武藤と蝶野が蹴りを使うタイプではなかったこともあり、昔からトレードマークでもあった。
 大地も空手を習っていたため、蹴りを得意にするのは分かるのだが、やはり見ている側に「あの蹴りは効くなぁ」と思わせる“説得力”は必要不可欠だろう。

 例えばプロレスラーとしては大地と同じド新人でも、長島☆自演乙☆雄一郎や京太郎の蹴りは、プロレスの試合でも「さすがはK−1王者だな」と思わせるものがあった。
 また、みちのくプロレスのフジタ“Jr”ハヤトも大地同様、決してカラダが出来ているわけでなく、線が細いタイプだが、蹴りの説得力に関しては大地とはかなり差があるのが分かると思う。ハヤトの場合、見るからに「思い切り蹴っている」という感じがして、場内がどよめくことも多々ある。

 いまの大地は蹴りを中心に、武藤のシャイニング・ウィザード、蝶野のSTF、父親の水面蹴りやニールキック、望月成晃の三角蹴りと、対戦した相手から技をいただくというのがパターンになっているが、これまた試合後に高山が「今日の俺もそうだけど、横綱(=曙)とやったり、武藤、蝶野とやって、特別待遇じゃん。こういうのって、今まででなかなかないよな。(ジャンボ)鶴田さんぐらいか? 鶴田さんのような逸材じゃねぇじゃん、アイツ。ただのガキじゃん。もう、いいんじゃねぇか。そろそろガキの中に放り込んで、ジェラシー燃やしてる奴と殴り合いさせたほうがいいんじゃねぇのか」と言っていたように、七回忌興行も終わったことだし、もう大地の特別待遇は必要ないだろう。

 シャイニングやSTFはここ一番のときでいい。毎試合出す必要はないだろう。個人的には蹴りだって、カラダが出来て体重を乗せた蹴りが出せるまではあまり出さないほうがいいと思う。デビュー3、4カ月に新人に技に説得力を出せというほうが酷だ。ファンが新人レスラーに求めるものは、技の豊富さや完成度(美しさ)よりも剥き出しの感情だろう。
 大地の特別待遇に対して、ジェラシーを燃やしていた同じくらいのキャリアの選手たちと、エルボーやチョップ、ストンピングで感情をぶつけ合い、大技といえばドロップキックと逆エビ固めだけの試合をする大地を見てみたい。父離れを宣言したいまだからこそ、1新人レスラー・橋本大地として、技ではなく、そういう感情剥き出しの試合から始めてほしい。