バトル・ニュース

2011/06/01


6時間と2時間半


 5月29日、さいたまスーパーアリーナで開催された『DREAM JAPAN GP〜2011バンタム級日本トーナメント〜』を取材して、やはりあのオープニングVが流れたあと、あの“PRIDEっぽい”曲に乗って、あのケイ・グラントさんとレニー・ハートさんの声で選手名を叫び、1人ずつ選手が入ってくるオープニングを会場で見ていると、やっぱり高揚してくる。
 あの雰囲気をまだ日本で味わえるのは有り難いことだし、試合も約3年ぶりに勝利した宇野薫が思わず試合後に「もう何回も諦めようと思ったんですけど、3年間諦めなくて......」と声を詰まらせたり、中村大介が師・田村潔司がかつて一度だけ使用した『UWFメインテーマ』で入場してきたり、所英男が以前完敗を喫した山本篤にリベンジしたりと、見どころは多々あった。

 だが、16時大会開始で全11試合が終わったのが22時という、約6時間興行はさすがに長かった。恐らく帰りの電車がなくなるからだと思うが、途中で帰ってしまう観客もかなりの数いた。
 筆者も経験があるが、電車の時間を気にしながら観戦するほど集中出来ないことはない。これは誰も得をしない。高いチケット代を払って観戦しているお客さんにしても、最後まで集中して楽しみたいし、リング上で試合をしている選手だってお客さんには集中して見てもらいたいはずだ。
 見ていてどうしても1R10分・2R5分という試合時間が長い気がして仕方がなかった。11試合中、時間切れ判定決着になった試合が6試合もあったのだ。これが5分2Rとか、1R10分のみとかだったら、ずいぶんと違っていただろう。

 単純に比べられるものではないが、近年の新日本プロレスの進行具合は目を見張るものがある。一時期の低迷ぶりがウソのように盛況な最近の新日本だが、その要因の1つに進行の良さがあるのは間違いないだろう。
 例えば5月26日に後楽園ホールで行われた『BEST OF SUPER Jr.XVIII』開幕戦。新日本をはじめ、各団体で活躍しているトップクラスのジュニアヘビー級戦士の総当たりリーグ戦。他団体の選手としては、ここでインパクトのある試合をして、名前と顔を売っておきたと思えるような大舞台だ。

 リーグ開幕戦ということもあり、各選手気合いの入ったいい試合が多かった。それでもリーグ戦8試合+ヘビー級の特別試合が1試合の計9試合で、18時30分に大会が開始して21時にはすべて終了した。
 上記のDREAMと比較すると、9試合で2時間半では短期決戦ばかりで、あまりインパクトが残るような試合がなかったように思えるかもしれないが、この2時間半の中にギュッと見どころが濃縮されていた。
 
 それに、決して短期決戦が多かったわけではなく、セミの田口隆祐vs.飯伏幸太も、メインのデイビー・リチャーズvs.プリンス・デヴィットもどちらも試合時間は13分くらい。これが長過ぎず短すぎずちょうどいい。DREAMだって1R10分・2R5分をすべて戦い抜くと15分なので、さほど差はないはずなのだが、どうも見ていて長く感じてしまう。
 新日本の場合、21時頃には大会が終了したので帰りの電車を気にするどころか、一緒に観戦した友人と帰りに一杯やりながら試合の感想を語り合える余裕まであったくらいだ。これなら「また行きたい!」と思った人も多いだろうし、プロレスに興味がある人を誘いやすい。
 いくら面白い試合があっても、6時間堅いイスに座って見なければならず、帰りに一杯やるどころか電車もギリギリでは、やはりよほどの格闘技ファンじゃないと「また行きたい!」とは思いにくいし、友人だって誘いづらいってものだ。